最新Apple M2を選ぶメリットとは? 13インチMacBook Proレビュー

アップルが自社設計による最新のシステムオンチップ(SoC)「Apple M2」を載せた13インチの「MacBook Pro」を6月24日に発売する。初のM2チップ搭載機はビジネスシーンでの活躍も期待できるモバイルPCだった。実機のファーストインプレッションを報告する。

最新モデルでも「Touch Bar」を搭載

MacBook ProはアップルのモバイルPCの上位シリーズ。本稿で紹介する13インチのモデル以外に14インチ、16インチの3モデルを展開する。

2021年秋に発売された14インチ、16インチのMacBook Proは、M2チップよりもパフォーマンスの面で勝る「M1 Pro」「M1 Max」を搭載する。ディスプレイの画質に優れ、またカスタムオーダーにより搭載できるメインメモリーやストレージのオプションも13インチのモデルよりも幅広い。

13インチのMacBook Proには物理ファンクションキーに代わるユーザーインターフェースとして、高精細なタッチディスプレイ「Touch Bar」がある。macOS上でアクティブなアプリケーションに連動するメニューがここに表示され、タップやスワイプなどの操作に対応する。筆者はMacBookで仕事をする時に、このTouch Barをよく活用している。例えばインタビューの録音ファイルをQuickTime Playerで再生する時の“頭出し”が直感的に操作できて便利だ。

同時に発表されたM2搭載MacBook Airと価格比較

MacBookシリーズの入門機である「MacBook Air」にもM2チップを搭載する新製品が近く発売される。Apple Storeの税込販売価格を比べてみる。

256GBのストレージ搭載機はProが17万8800円、Airが16万4800円。512GBのストレージ搭載機はProが20万6800円、Airが20万8800円と近接している。

新しいAirが表示領域の広いLiquid Retinaディスプレイに、より高画質なFaceTime HDカメラなどを搭載していることを踏まえれば「ProとAirの差が縮まった」のか、あるいは「Airの性能が飛躍した」と受けとめるべきかもしれない。

なお、14インチのMacBook Proの価格は最小ストレージサイズの512GBモデルが27万4800円からスタートする。比べると10万円近く安価な13インチ機は、最新M2チップの高パフォーマンスをいち早く体験できる、高品位な「MacBook Proの入門機」に位置付けても良さそうだ。

M2チップのメリットはパフォーマンス向上と省電力化

アップルが6月開催のWWDCで発表したApple M2チップの特徴を振り返ろう。

およそ1年半ぶりにアップデートされた最新のM2チップも、M1チップと同じ5nmの加工精度により製造される。M2チップは200億個のトランジスタにより構成される。M1チップよりも25%トランジスタの数が増えた。

CPUは性能コアだけでなく効率コアも強化したことから、M1チップよりも複雑な処理を18%速く、さらに電力消費をより少なく抑えながらこなせる。

M1よりもコア数が2つ増えた10コアのGPU、およびメモリ帯域幅が50%高くなったことで、特にグラフィックス処理の性能が向上した。機械学習処理に特化するNeural EngineはM1チップより約40%速い。

M2のパフォーマンス向上をMacBook Proによるユーザー体験に言い換えるならば、複雑なマルチタスク処理、写真やイラストなどビジュアル制作物の加工がより速くこなせる期待が持てる。バッテリーの消費が少なく抑えられることもモバイルPCにとって大事な要素だ。

増加したビデオ会議に対応したフロントカメラの画質向上。強力なメディアエンジン

M2チップ搭載MacBook Proの実機を1週間ほど試した。

MacBook Proは720p画質のFaceTime HDカメラを搭載している。筆者のメインマシンであるM1搭載MacBook Airと同じスペックのカメラだが、Zoomによるビデオ会議の映像を比べたところ、MacBook Proの方が色あいやコントラスト感がより自然で、画質が向上していた。M2チップに統合されているISP(画像信号処理プロセッサ)が刷新され、合わせてソフトウェアにも改良が加えられているからだろう。

新しい13インチのMacBook Proにも高品位な音声を収録できるスタジオグレードのマイクが内蔵されている。オンライン会議などのビデオ通話は、外付けのアクセサリー機器を加えることなく映像と声をクリアに届けられる。相手に好印象を与えるはずだ。

14/16インチのMacBook Proから採用が始まった「メディアエンジン」が、新しい13インチのモデルにも搭載されている。多彩な動画ファイルのエンコード・デコードなどが扱える専用の処理回路だ。

比較して差が出るのは元のサイズが大きなファイルの処理が必要な場面だと思うが、参考までに。筆者が記事のコンテンツとして、あるいは資料としてデジタルカメラやiPhoneで撮って、iMovieで簡単な編集を加えながらつくる5分〜10分前後の簡易な動画でも、メディアエンジンを積んでいるM2 MacBook Proの方が、M1 MacBook Airよりも速くファイルに書き出せた。動画クリエイター向けのモバイルスワークステーションとして、コンパクトでパワフルな13インチのMacBook Proは最適な選択肢のひとつになる。

タフなバッテリー。回っても気づかないほどの静音設計も魅力

内蔵バッテリーによる最大駆動時間は、新旧世代のMacBook Proの間で変わらず。ともに約20時間だ。実機を満充電にした状態で朝から使い始めて、原稿執筆や写真素材の編集、動画の鑑賞など日常的な用途にほぼ1日使い倒すと、バッテリーの残量がようやく40%を切るぐらいの感覚だ。

新しいMacBook Proには67WのUSB-C電源アダプタが付属する。7月に発売を予定するM2チップ搭載のMacBook Airには、67Wの電源アダプタを使うと内蔵バッテリーを高速充電できる機能がある。例えば飛行機の乗り継ぎ時間に少しでもバッテリーを多く回復しておきたい時などを想定すると、MacBook Proにもこの機能が欲しかった。

MacBook Proは排熱システムに空冷ファンを採用する。負荷の高いベンチマークアプリを実行させて高精細な動画を続けて再生するとファンが回り始めたが、静かな部屋で本体に耳を近づけないと聞こえないほど音は小さい。筆者の日常的な作業であるテキストタイピングや写真の加工、ビデオ会議などをマルチタスクでこなしてもファンは回らないし、本体が熱を持つこともなかった。静かなファンレス設計のM1 MacBook Airと比べて、使い勝手の面で引けを取ることもないだろう。

本体の質量を比べると14インチのMacBook Proは、13インチのモデルよりも200gほど重い。持ち比べると気が付く程度の差なので、少しでも軽いモバイルPCが欲しいという方は13インチを選びたい。ただ、SDカードスロットやHDMI端子、有線接続のアクセサリーがつなげられるポートの数などは14インチのMacBookが充実している。さらに14インチのMacBook Proには電源ケーブルの端子にマグネットで着脱する安全なMagSafe 3があることも比較時の大事なポイントになる。

昨今はビジネスシーンでもパワーポイントやエクセルで作成したテキストや静止画だけでなく、動画も交えてプレゼンテーションを見せる機会が増えたと聞く。さまざまなメディアファイルが軽快に扱えて、ポータビリティにも優れるM2搭載MacBook Proはあらゆる「プロ」の活躍を支えるモバイルPCだ。

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分类:情報

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