Zoomのプラットフォーム化を加速させる「Zoom Apps SDK」発表

この2年間で、Zoomはビデオの巨人となり、リモートワークそしてハイブリッドワークのニーズに対応するために、飛躍的に機能をとりこみ、サービスを向上させてきた。ビデオ会話ソリューションの難しさの1つは、過去数年間で機会が増えてきたハイブリッドなエコシステムをうまくさばくことだ。人々はこれまで以上に、仕事、学校、遊びといった複数のハイブリッドエコシステムを行き来するようになっている。

このハイブリッド化の流れが要求するのは、Zoomのようなビデオ通話ソリューションにおけるソリューションとアプリケーション間の相互運用性だ。Zoomが、自社サービスとZoomアプリの相互運用を可能にしたことは評価できるが、次のステップはその力を開発者の手に委ねることだ。

Zoomは、開発者にZoomエコシステム内でのアプリ構築を可能にするZoom Appsソフトウェア開発キット(SDK)の一般提供を発表した。ではZoomのこの新しいアプリSDKと、アプリマーケットプレイスを育成するためにZoomが行っていることについて見ていこう。要するにこれは、Zoomの「プラットフォーム化」に向けた新たなステップだ。

Zoom Apps SDK

Zoomは約1年前にZoom Appsを発表した。Zoomエコシステム内にアプリを実装する狙いは、ユーザーがZoom外のアプリとやりとりするためにZoomを離れる必要がないようにすることだ。すでにZoom Apps Marketplaceに登録されているアプリならば、Zoomを離れる必要はない。これまでに、Zoom開発者たちが100以上のZoomアプリを公開しているが、今回公開されたZoom Apps SDKは、開発者や企業がより多くのZoomアプリを開発するための入口となるものだ。

現在のところ、私はZoom自身によるZoomアプリ体験への取り組みが気に入っている。Zoom Appsの発表時に、Zoom Apps SDKを発表することもできたはずだ。最初の100個のZoom AppをZoomが自身でコントロールし、その後にデベロッパーに公開するという決断は戦略的なものだった。これにより、ZoomはSDKに含まれるべきものを明確にすることができ、開発者は最初の100のアプリケーションをもとに、Zoomを使ったアプリケーションがどのようなものであるかを知ることができた。Zoomは、コアとなるビデオ体験を複雑にしないやり方で、アプリを組み込むことができることを、開発者に証明しなければならなかったのだ。

Zoom Apps SDKは、開発者がクライアントの機能にアクセスできるようにするJavaScriptで書かれたSDKだ。Zoom Apps SDKを通して、開発者はAPIやWebhooks、AI/MLユースケースで使われるミーティングSDK、開発者リソース、ISVパートナーシップにアクセスすることができる。これにより、開発者にとって、Zoomのためのインタラクティブなアプリを作る余地が大きくなった。AIと並行して識別子を使い、インタラクティブな体験を実現するアプリが出現することに興味がある。

こうしたアプリケーションは、ビデオ通話ソリューションに追加される小さな機能に見えるかもしれないが、Zoomプラットフォームをアプリのやりとりの中心媒体にしたエコシステムを作り出すことができる。例えば、学校ではZoom通話を使ってオンラインテストを実施できる。外部を組織を通すのではなく、Zoomのプラットフォームを通じてAIアプリでテストを進行するのだ。同様に、ビジネスでは、ワークフローを自動化したり、ビデオ通話の外部で使用されるものと同じアプリを使用して、通話内のすべてのユーザーに同一サービスを利用してもらったりできる。これは時間の節約にもなり、効率的だ。

Zoom連携アプリマーケットプレイス

また、Zoomはユーザーがマーケットプレイス内でアプリを検索できるようにすることで、アプリマーケットプレイス内でのアプリの発見を容易にしている。Zoomでは、利用可能なアプリの一覧とアプリの詳細を提供し、会議中に追加できるようにするという。これは企業内、学校内、気軽な通話といったさまざまなユースケースで役立つだろう。例えば、何気ない2人の通話の最中に、アプリマーケットプレイスでゲームを検索し、適切なゲームを見つけることで、対戦型のゲームセッションが始まるかもしれない。

もしZoomがアプリマーケットプレイスをうまく管理し、成長させることができれば、Zoomをビデオ通話分野における真の相互運用可能なコラボレーションオペレーティングシステムへと成長させることができるだろう。マイクロソフトやグーグル、さらにはセールスフォースもこのプラットフォーム領域に参入してきているので競争は激しい。

Zoomのアプリ制作のロードマップは、マーケットプレイス内にアプリを公開することを容易にしている。開発者はアプリを作り、提出用チェックリストを記入し、審査を受け、マーケットプレイスでアプリを公開する。こうすることで、すべてのユーザーがそのアプリを利用できるようになる。かつて私は、まず新機能をリリースして後から問題を修正するZoomのやり方が、ゼロデイセキュリティリスクなどの憂慮すべき問題を引き起こすことに懸念を抱いていた。だがその後、Zoomは180度変わったと思う。開発者のエコシステムを戦略的に構築し、繁栄しうるアプリマーケットを構築しているのだ。ビデオ通話ソリューションのトップに位置するZoomなら、その市場は成功する可能性があると思う。

まとめ

Zoomは、戦略的にアプリマーケットプレイスを構築し、プラットフォームへの進化を試みていると思う。Zoomは最初の100個のアプリで成功し、戦略的に時間をかけて開発者向けのアプリSDKをリリースしたようにみえる。開発者にどうやればよいのか、どうすべきなのかを示すために、最初の100個をコントロールする必要があったのだ。

SDKの一般リリースは、Zoomの「プラットフォーム化」のための大いなる2歩目といえるだろう。

注:Moor Insights & Strategyのアナリストであるジェイコブ・フレイマン氏がこの記事に協力している。

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カテゴリー: 情報

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