バッテリー持ちが大きく改善、Apple Watch Series 8を勧めたい理由

アップルの新しいスマートウォッチ「Apple Watch Series 8」と第2世代の「Apple Watch SE」を、発売前に試す機会を得た。新製品のファーストインプレッションと、備わる機能を有効に活用する方法を紹介したい。

Series 8のバッテリー持ちを改善する新しい「低電力モード」

Apple Watch Series 8は、従来モデルのSeries 7から約20%広くなったスクリーンを継承。デザインはほぼ変わらないが、大事な基本機能をブラッシュアップした。その1つがバッテリーの持ちが良くなったことだ。

新しく搭載した「低電力モード」をオンにすると、通常なら最大18時間連続で使えるバッテリーのスタミナが倍の最大36時間まで伸びる。

ウォッチの設定アプリ、または文字盤を下から上に向かってスワイプして表示するコントロールセンターからバッテリー設定を開き、低電力モードのトグルをオンにすると機能が有効になる。

従来Series 7までは「省電力モード」という名称で、時刻表示以外の機能をすべてオフにしてバッテリーを延命する機能だった。新しく設計された低電力モードの特徴は、バッテリーを節約しながらもアクティビティのトラッキングや転倒検出など、Apple Watchのエッセンシャルな機能を続けて使えるところにある。睡眠計測できた。

代わりにSeries 8が搭載する常時表示ディスプレイは無効になるが、画面を起動すれば文字盤やアプリのアイコン表示などは見ることができる。本来バックグラウンドで動作する心拍数計測や血中酸素ウェルネスの測定はセンサーによるバッテリーの消費を抑えるためオフになるが、オンデマンドでの計測はできる。iPhoneから飛ぶ通知はリアルタイムでApple Watchに共有されず、1時間に1度伝えられる。

筆者は使用開始後にフル充電の状態から丸1日間使い続けてみた。途中でワークアウトもしたり、取材のため使い込んでいるからかバッテリーは6割弱減っているが、明らかに消耗するスピードは遅くなっている。

平時から低電力モードをオンにしたまま使いたくなるところだが、Apple Watchのバッテリーを残量80%以上までチャージすると、機能はいったん自動的にオフになるので、再度のセットアップが必要だ。1泊の出張に出かける際に、Apple Watchの充電器を忘れてしまっても、Apple Watchが最新のSeries 8ならば動じることなく普段通りに使えそうだ。

Apple Watchがドライバーの安全 / 女性の健康を見守る

Apple Watch Series 8には2つの新しい機能がある。

1つは自動車の衝突事故を自動で検出する機能だ。残念ながら本機能を「試す」ことができないので、どのような機能なのか説明する。

Apple Watchのユーザーはドライバー、または助手席等に座る同乗者でもよい。自動車で走行中に前後左右からの衝突、横転が発生した場合、ウォッチに内蔵する最大256Gの衝撃まで検知する高重力加速度センサーと、100万時間を超える実験と機械学習を繰り返して得た衝突データのアルゴリズムにより事故を判定。10秒のカウントダウン後にユーザーの反応がない場合、緊急通報サービスへ自動で電話をかける。

同日に発売を迎えるiPhone 14シリーズにも衝突事故検知の機能が搭載されているが、常時身につけるウェアラブルであるApple Watchの方が万一の事態に遭遇した場合でも手元で連絡が取れる可能性が高くなる。仕事などで1日の間に長時間自動車に乗る機会がある方はApple Watch Series 8に注目したい。

もう1つは、ユーザーの手首の皮膚温を測定するセンサーが内蔵された。機能の意図と皮膚温測定の仕組みについては、アップルが9月に実施した発表会でのハンズオンレポートの中で詳しく紹介しているので参照してほしい。
皮膚温測定の意図は、ユーザーの皮膚温が変化する傾向をヘルスケアアプリに集まったデータを元に可視化して体調の変化を知り、病気を未然に防ぐことだ。アップルは女性ユーザーのための周期記録の機能に皮膚温測定を連係させて、データの精度や使い勝手の向上を図った。Series 8から少し遅れて発売を迎えるApple Watch Ultraにも同じ機能がある。ユーザーの体温をオンデマンドに測定することを目的とした機能ではないので注意したい。

今後サードパーティのデベロッパーから皮膚温のデータをベースにしたストレス測定、その他の体調のバランスを知らせてくれるアプリサービスが充実することを期待したい。

キーボードが日本語入力に対応。コミュニケーション端末として飛躍

後発のUltraを除く2つの新しいApple Watchを試すことができたが、筆者はやはりApple Watch Series 8の方を買うべきアイテムとしてお勧めしたい。

ボーダーラインとなるGPSモデル同士の価格を比べると、新しいSEとの価格差は税込2万2000円だが、先に触れたユーザーの命と健康のバランスを見守る機能が使えるアドバンテージを持っているし、続いて触れる便利な「日本語キーボード」がSeries 8と、生産を完了するSeries 7だけに搭載されているからだ。

日本語キーボードはwatchOS 9から実装する新機能。Apple Watchの画面に表示されるフリック入力に対応する日本語キーボードを使ってメールやメッセージ、LINEのテキストが正確にタイピングできる。

手元でちょっとしたメッセージを返したいときに、iPhoneを使わずにApple Watchで返信ができるとかなり生産性が上がる実感を持った。Series 8はSEよりもスクリーンのサイズが約20%広く、キーボードは小さいが慣れると意外とスムーズにタイピングできた。セルラーモデルのApple Watchを選択すれば、iPhoneを持たずに近所に脚を伸ばしても、音声通話だけでなくメッセージやメールにも応答ができる。

筆者が発売前の期間に試した限りでは、日本語キーボードはFacebook MessengerやMicrosoft Outlookなどのアプリに対応していなかった。現在、メッセンジャーアプリが仕事のツールとしても活用されているので、各アプリはぜひSeries 8の日本語キーボードへの対応を実現してほしい。

SEはカジュアルなスポーツウォッチとして楽しみたい

現時点で今年のApple WatchはSeries 8がイチオシというのが筆者の見解だが、かたや税込3万7800円で買えるApple Watch SEも魅力的なデバイスだ。

本機は大きいケースサイズのGPSモデル同士で比べるとSEの方がSeries 8よりも質量が5.9gほど軽い。50メートルの耐水性能も備えている。高価なUltraより、もっとカジュアルなスポーツシーンで気軽に使い倒せるスマートスポーツウォッチとして位置づけたい。

特に大きな44ミリケースのSEを選べば、新しいApple Watch Ultraのために開発された「アルパイン」「トレイル」「オーシャン」の3タイプのウォッチバンドを装着することができる。いずれのバンドも耐久性が高く、装着した状態からバックルが簡単に外れにくい機構を採用している。文字盤も含めてスポーツ仕様にとことんカスタマイズして存分に使い倒したい。

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