iPhoneのバッテリー寿命を延ばす充電方法まとめ

アイフォンは、息の長いスマホとして知られています。一目でアイフォンと分かるアイデンティティが確立された統一デザインは、ニューモデルが発売された後でも旧モデルが古臭くなりにくく、アイフォンの心臓とも言える「iOS」が随時更新・アップデートされることで常に最新機能とセキュリティを反映できるからです。

1人のユーザーが、次のアイフォンやスマホに買い換えるまでの平均的な使用期間は2~3年程度と言われますが、中には、4~5年の長きに渡って愛用するユーザーも少なくなく、使用年数は徐々に伸びる傾向にあります。


現在でも人気のモデルとなっているiPhone SEやiPhone 7は、2022年に発表されたiOS16の対象から外されて、遂にiOSバージョンアップデートができなくなってしまいました。一方で2017年発売のiPhone8とiPhoneXはiOS16に対応し、いまだに最新アップデートの恩恵にあずかれていますね。

そんなアイフォンを最良の状態で長期間使い続けるためには、バッテリー性能の維持が欠かせません。今回は、充電方法によってその寿命が大きく左右されるバッテリーの、正しい充電方法をご紹介します。高性能・高出力のリチウムイオン電池にも弱点が

アイフォンに使用されているリチウムイオン電池は、薄型で自由な形に成型できる高エネルギー・高性能な電池です。リチウムイオン電池は速い充電が可能で電池の持ちも良いという特徴を持っているため、現代社会においてより多くの電力を必要とするスマートフォンには打ってつけのバッテリーと言えますが、欠点・弱点も併せ持っています。

リチウムイオン電池は熱に弱いリチウム電池の最大の弱点は「熱」です。
AppleのWEBサイトには、バッテリーに対する公式見解が掲載されています。

このようにAppleでは、アイフォンをはじめとするiOS機器は0~35℃での使用を推奨、また保管場所においては-20~45℃を推奨しています。
さらに、iOS機器はデバイス内部の温度が正常な動作温度の範囲を超えると、自らを保護するために「ディスプレイを消す」「低電力モードになる」等の動作を起こすとしています。

充電に関してもバッテリーを労わる方法が採られており、iOS機器の充電は2段階で行われます。
最初は利便性のため容量の80%までを高速充電し、残りの20%はバッテリーに温度上昇によるダメージを与えないよう、電流を弱めゆっくりと優しい充電(トリクル充電)を行います。

リチウムイオン電池は「フル」の状態に弱いリチウムイオン電池は、「フル充電」「フル放電」の状態にしない方が良いと言われています。

満充電は、充電の状況によっては高温を発生しバッテリーの劣化を早める元となりますし、リチウムイオン電池の場合、フル放電は深刻なダメージを負う可能性が高いため、できるだけ「フル充電」「フル放電」の状態にしないように充電~使用を繰り返す事が良いとされているのです。

なぜトリクル充電が必要なのかバッテリー容量の80%までは急速充電をし、それ以降はトリクル充電をする理由は何かと言えば、80%以上の容量を充電すること自体がバッテリーには厳しい状態だからです。
それゆえ急速充電からトリクル充電に切替え、電流を弱めてそ~っと優しい充電を行うわけです。

これを言い換えれば、もし使用環境や状況が許すなら、常に充電は80%程度までに抑える事でバッテリーが長持ちするわけですが、80%までしか充電しないのは現実的ではありません。
せめて90%程度には収めるよう意識する事で、バッテリーの実用性を確保しながらバッテリー寿命を延ばせるかもしれません。

設定した充電量を知らせてくれるアプリ
フル充電がリチウムイオン電池に良くないとすれば、手前の80%や90%で充電を終わらせたいと考えますが、常に充電量を確認し続けるのは無理があります。
そこで、予め設定した充電量になるとアラームで知らせてくれるアプリが登場しました。

「Charge Alarm(チャージアラーム)」というアプリで、任意の充電量になると指定したアラーム音で知らせてくれます。このアプリを使用すれば、うっかり容量チェックを忘れた場合でもフル充電にならずに充電コードを外す事ができます。アラーム音は、リストから好きなものを選ぶ事が可能です。

ただ1点使いにくいのは、このアプリを使用している間に他の機能・アプリを立ち上げると、アラーム機能が無効になってしまうことです。


もちろん、充電をしながらの利用はしない方が良いという原則に従えば当然の機能かもしれませんが、メールやSNSなどの通知が表示されるとやはりチェックしたくなるものです。その場合には、再度アプリを開いてからスリープ状態にしないとアラームが鳴りませんので注意が必要です。
バッテリーの保管時にもバッテリー残量を確認バッテリー満タン状態や、逆にカラの状態で、アイフォンを長期間保存する(電源をONにしない)事も避けるべきです。
Appleでは、保管中であっても時々バッテリー残量を確認し、常に残量が20~80%の間、その中でもなるべく50%前後の状態を保つよう推奨しています。

フル充電・フル放電に纏わる都市伝説2選ご参考までに、フル充電やフル放電に纏わる誤った都市伝説を2つご紹介しておきます。

都市伝説① バッテリーは全て使い切ってから充電すべしか【バッテリーを使い切らないうちに充電をすると「メモリー効果」を引き起こし充電容量が目減りしてしまうので、バッテリー残量を残したまま充電する「継ぎ足し充電」はしてはいけない。】

これは、ひと世代前の「ニッケル水素電池」での「良い充電方法」を言い表したものです。
「メモリー効果」とは、容量を残したまま充電した場合に、残した分の容量が記憶されて徐々に実際に使用できる充電容量が目減りしてしまう現象です。
これを防止してバッテリーを長持ちさせるには「継ぎ足し充電はNG」とされていました。

しかし、現在のスマホバッテリーの主流であるリチウムイオン電池は、「メモリー効果」を起こしにくい特性を持っているため、フル放電によるダメージの方を優先して考慮すべきです。
アイフォンの「低電力モード」は、もちろんユーザーの利便性の問題もありますが、通常使用を続ける事でフル放電状態になってしまう危険性を少しでも回避するためにバッテリーのことを考慮した機能でもあります。
目安として、「低電力モード」に切り替わる20%の容量を残したまま充電することの方が、リチウムイオン電池に優しい充電方法です。

言い換えれば、ニッケル水素電池の時代にNGとされていた「継ぎ足し充電」こそ、リチウムイオン電池にとって寿命を延ばす優しい充電方法と言えます。そして、満充電になる前に充電を終了する事で、フル充放電によるバッテリーへのダメージを最小限にする事ができます。

都市伝説② 充電コードを繋ぎ放しにしてはいけない【充電する際に、フル充電になっても充電コードを抜かずに繋いだままにして置くと、自然放電で減った分を繰り返し充電するのでバッテリーの寿命を縮めてしまう。】

こちらは充電コードの繋ぎ放しに関する都市伝説です。
確かにフル充電の状態ではバッテリーが熱を帯びる場合があるので、あまり満充電状態にはしない方が良いのは確かですが、コードを繋ぎ放しにしたために自然放電した分の充電を繰り返し充電回数が飛躍的に増える→バッテリーの寿命が縮まる…というのは都市伝説だと言えます。

例えば、就寝時に充電したアイフォンが朝起きたら熱くなっていたという経験はないと思います。
それはつまり、アイフォンはフル充電になったら充電を遮断する機能を持っていて、無駄に充電し続ける事はないということなのです。

ただし、充電をしたままゲームをしたり動画を視聴したりすることは、充電放電を繰り返し高温になる可能性が高いので避けるべきです。充電中の高負荷コンテンツの利用はバッテリーには非常にダメージを与えてしまいます。


iPhoneバッテリーを守る2つの考え方・ アイフォンを極端な高温状態で利用・保管しない
・ フル充電、フル放電をせず、継ぎ足し充電を心がける
・ 充電コードの繋ぎ放しは大きな問題ではないが、充電したまま高負荷コンテンツを利用しない

前項で述べたこれらの点について、科学的・理論的に説明すると、以下2つの重要な考え方になります。

フル充電サイクル「アイフォンのバッテリーは500回充電すると寿命になるらしい」と聞いた事はありませんか?
実はそれ、正しいようで、実は微妙に間違っています。

正しくは、500回充電ではなく、500回の「フル充電サイクル完了時」です。

こちらの図は、充電・放電の状態を表していて、左から右へ時間が進行すると考えてください。
黄緑色の部分が充電を行っている状態で、灰色の部分が放電(iPhoneを使用)している状態です。
この図では、充電された状態から75%分を使用し、また100%まで充電し、そこから25%分だけ使用しました。

放電量は、1回目75%、2回目25%の使用を合わせて100%になりますが、これを「フル充電サイクル」1回とカウントします。つまり「フル充電サイクル」とは、充電・放電を繰り返しながらバッテリー使用量(放電量)が100%になるごとに1回カウントされる訳です。(「充電サイクル」と言いながら充電回数の合計ではないのが分かりづらいですね)

つまり、Appleが言う500回という回数は、「充電コードに繋いだ回数」や、「満充電まで充電された回数」ではなく、放電量の合計が100%になるごとにカウントされる「フル充電サイクル」の回数だという事です。

Appleでは、500回のフル充電サイクルに到達した場合に、初期容量の80%を維持するよう設計しているとしています。これは逆を返せば、バッテリー容量が80%を切った場合には、アイフォンが必要とする充分な電力を供給できなくなる可能性が高い事を意味しています。

充電深度アイフォンのバッテリーの充電を考える際に重要なもう1つの考え方は、「充電深度」です。
これは、1度に充電される量が多ければ多いほどバッテリーの負担となりダメージを与えるという考え方です。

こちらは、1度の充電量の違いを図式化したものです。
「A」 は、残量が20%になった時点で、90%まで充電しています。充電量は70%です。
「B」 は、残量30%から90%までの充電、充電量は60%です。
「C」 は、残量50%から80%までの充電、充電量は30%です。

緑の部分が充電状態を表しますが、A→B→Cの順で、1度の充電量が少なくなっています。
この1度の充電量の多さを深さと捉え「深度」という言い方をします。

誤った充電回数の認識で考えると「A」が最も良い充電方法に思えますが、「充電深度」の観点で考えた場合には、1度の充電量が最も少ない「C」がバッテリーに優しい充電方法となります。
つまり「充電深度」とは、リチウムイオン電池の「メモリー効果」を起こしにくい特性を利用し、充電回数が多くなったとしても1度の充電量を少なくしバッテリーへのダメージを少なくしようとする考え方です。


ただ現実問題として、50%→80%では実際に使用できるのは30%しかなく、充電が頻繁になり実用的ではありません。朝出かけてから夜帰宅するまでバッテリーが持たないのであれば、現実に即しているとは言えません。
そういう意味では、20~30%→80~90%間での充電・放電を繰り返す充電方法がバッテリーにも比較的優しく、ある程度の実用性も確保した充電方法と言えます。

劣化したバッテリーは早めの交換がおすすめ

iPhoneに限らずスマホ用のバッテリーは、劣化が進むと充電容量の減少だけでなく様々な症状が現れてきます。
こちらの画像は、新品(左)のバッテリーと、劣化(右)したバッテリーの厚みを比較したものですが、約2倍近くまで膨張している事がわかります。このまま放置すればバッテリーはさらに膨張を続ける可能性が高いです。
バッテリーの膨張自体に危険性は少なく、爆発等はほとんどないとされていますが、バッテリーが筐体内部で膨張する事による影響は深刻な場合があります。


バッテリーが膨張する力は想像以上に強いもので、ボディを変形させてしまったり基盤などの部品を損傷させてしまう事例も報告されています。さらにボディの変形が「防水端末」で発生した場合、防水性能は失われてしまいますし、液晶パネルが損傷すればTouch ID等の機能も正常に動作しなくなってしまいます。


もしiPhoneが内部から押し広げられているようであれば、早めのバッテリー交換をおすすめします。

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