信頼あるAI社会に向けて企業が備えるべき視点とは。ソフトバンクの「AI倫理ポリシー」とリスクマネジメントの取り組み

社会にAIが普及していく中で、安全で信頼できるサービスを提供するため、企業にも適切にAIを取り扱う責任が求められています。

責任あるAIを実現するためにソフトバンクが企業としてどのような観点でAI活用におけるリスクや法の遵守に取り組んでいるのか、ソフトバンクのAI倫理ポリシーの特徴や目指すところについて、ソフトバンクのAIガバナンスを担当するAI戦略室 室長の松田慎一、法務・リスク管理本部 法務統括部の山口薫に話を聞きました。企業に求められる “責任あるAI” の実現を目指すAIガバナンス。ソフトバンクの「AI倫理ポリシー」

ソフトバンクでは、AI倫理ポリシーを策定したそうですが、そもそもAI倫理ポリシーとはどういったものでしょうか。企業でAIを活用することに関連するリスクとしては、機密情報漏えいや個人情報の不適正利用、犯罪の巧妙化・容易化、偽情報などによる社会の混乱・不安定化、サイバー攻撃の巧妙化、著作権侵害のリスクが挙げられています。

松田

そういったAIの利活用に伴うさまざまな問題を未然に防ぎ、事業活動に伴うリスクを抑えるため、全社的なAIの利活用に関する指針を定めたものがAI倫理ポリシーです。

今後導入される法規制に対応することはもちろんですが、法に反していなくても、誤ったAIの利活用はレピュテーションリスクに直結しますのでそれを防ぐ意義も大きいといえます。具体的にはどのようなことが定められているのでしょうか?

松田

AIは人々の幸せのために正しく活用すること、人種、国籍、性別によらない公平性を尊重すること、個人の生命、自由、財産等を脅かさないこと、プライバシーやセキュリティを確保することなど、AI活用に関する原則・方針を定めております。

2022年7月に策定したこのAI倫理ポリシーは、社外にも公表しておりますので皆さんにもぜひ一度ホームページでご覧いただきたいですね。ソフトバンクのAI活用における法的リスクコントロールは、AI活⽤の⽀援などの攻めと、守りのバランスを意識したガバナンスが特徴で、ブレーキになりすぎない、AIの活⽤を促進するための枠組みとして取り組んでいます。また、当社では専門部署としてAI戦略室AIガバナンス推進室が設置されていますが、CDO室、情報セキュリティ部門、コンプライアンス室、そして私たち法務・リスク管理本部などの部門が連携して法的リスクコントロールに対応しています。併せて、内閣府や総務省主催の研究会等を傍聴しAI関連動向をキャッチアップしつつ、AI共存社会を見据えた法的ルールメイキングのための情報発信・意見提言の検討も行っています。

企業に求められる“責任あるAI”の実現を目指すAIガバナンス。ソフトバンクのAI倫理ポリシー

ソフトバンクのAI倫理ポリシーの特徴について教えてください。

松田

ソフトバンクだけでなく、多くのAI倫理ポリシーで共通に取り扱われるのが、まず人間中心であること、そしてAIの公平性、透明性、説明責任などになります。

さらに、通信事業者キャリアという多くの人々のプライバシーに関わるデータを扱う立場から、個人情報の取り扱いやプライバシーの保護などについても、すでに策定されているプライバシーポリシーに整合する形で取り入れています。

また、AI人材・リテラシーの育成についても触れていることは少し特徴があるかもしれません。

AI人材・リテラシーの育成について詳しく教えてください。

松田

AIの活用を正しく行うには、従業員一人一人のリテラシーを上げる必要がありますので、AIの教育、AI人材の育成がとても重要であると考えています。これをAI倫理ポリシーの項目として定めているだけでなく、具体的には、役員を含む全従業員必須の基礎編と、AIの企画・開発・運用を行う担当者向けに応用編の2つの教育コンテンツを作成して全社展開したり、勉強会や説明会を開くといった活動を行なっています。

さらに、このAIを正しく活用するためのAI倫理に関する教育コンテンツは、われわれが提供している「Axross Recipe for Biz」という教育サービスを通して、社外のお客さまにも提供しており、ソフトバンクがAIを正しく活用する社会を推進する一翼を担っていると考えています。

また、このAI倫理ポリシーはソフトバンク株式会社だけでなく、50社以上のグループ企業にも適用することで、グループ全体のガバナンスの向上を目指しています。

グループ企業にガバナンスを効かせることはソフトバンク社内だけよりさらに難しいことですが、われわれが用意した教育コンテンツやガイドラインを提供し、AIガバナンスの運用についても支援することで細部まで手が回らない子会社でも必要な対応が取れるようしていきたいと考えています。

最後に、ソフトバンクが目指すAI活用における責任ある姿勢について、改めてお聞かせください。

松田

ソフトバンクが提供するAIやAIを使ったサービスは誰からも安心だと感じていただけるよう、信頼を積み重ねていくことだと思います。

そのためには、まず外部からも見える形でAI倫理ポリシーを定めたわけですが、それを遵守するガバナンス体制をきちんと運営していくことが第一歩です。

これをきちんと実効性がある形にするためには、セキュリティ、データ、ITなどのガバナンスを司る部門と一緒になって活動していくことが重要であると考えています。

相談する各案件・各担当者の手間・時間ばかりがかかってしまうような形では、事業を止めることにもなりかねませんので、そうではなく、協力して速やかにリスクをチェックし、適切に技術を活用できるように支援することで、先進的なAIを安心・安全に活用した製品・サービスをどんどん世に送り出せればと考えています。

AI活用で考慮すべき法的リスク。ソフトバンクの法務担当者が東京大学で講演

AIを正しく活用する社会推進の取り組みとして、「ソフトバンク法務の実務的課題と対応」をテーマにAI活用において考慮すべき法的リスクについて東京大学 大学院で講演が行われ、ソフトバンクで法務・リスク管理を担当する執行役員本部長の佐藤英幸、山口薫、知的財産部門から佐保優一の3名が登壇しました。

これは、東京⼤学の「先端ビジネスロー国際卓越大学院プログラム」の一環で、急速に変貌しつつあるビジネスにおける法務領域について、実務との密接な連携のもとで、理論的考究と実務面に関する知識の獲得の両面において大学院教育を強化することを目的に開催されたもので、ソフトバンクは連携先外部機関として、2019年度より年に一度参加しています。

登壇したソフトバンク 法務・リスク管理本部 執行役員本部長 兼 CCOの佐藤英幸は、ソフトバンクが目指すAIを活用した次世代社会インフラなどを例に、AI技術進化と普及が加速している現状を踏まえ、「法務部門というと、どうしても守りの部分が重視されるが、求められるのはリスクをコントロールしながらも、経営目標の達成にどれだけ貢献できるのか。実現可能な範囲を広げるクリエーションと、実現可能な範囲内での最大化を目指すナビゲーションの機能が必要」と企業の法務部門に求められる「攻め」と「守り」の観点や役割について考えを述べました。

続いて登壇した法務・リスク管理本部 担当部長の山口薫は、AI倫理の議論の広がりや国内外におけるAI倫理に関するガイドライン動向などを紹介。AIをビジネス活用する際に想定される課題やその対応について、実際の事例を交え解説すると共に、ソフトバンクのAI倫理ポリシーやAIガバナンスへの取り組みについて説明しました。また、生成AIの登場により昨今よく取り沙汰される著作権や特許権など知的財産に関わる問題や法的リスクについて、知的財産管理を担当する佐保優一が登壇。実務での検討例を題材に権利の帰属・行使の議論ポイントを紹介すると共に、責任あるAI実装・活用の実現に向けた知財ガバナンス体制の在り方について考察を述べました。

各講演後には、学生から各事例に対する考え方や解釈に深く切り込む質問が続くなど、AIのビジネス活用における法的アプローチへの強い関心がうかがえました。

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AIの社会実装をけん引する企業として、ソフトバンクが「AI倫理」とどのように向き合っているのかを紹介しています。

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